ちきりん著|『自分のアタマで考えよう~知識にだまされない思考の技術~』

著者:ちきりん
初版:2011/10/27

 

 

 

①「知っている」と「考える」はまったく別モノ

片面だけの思考ではダメ!

世の中の情報は、どんなモノもよい面と悪い面がある。その情報をみて考えられることをすべて列挙しろと言われたら、よい面と悪い面の両方が出てくるのが「知識にだまされていない純粋な思考」なんです。

ある情報から楽観的なこと、悲観的なこと、どちらかしか読み取れないのは、最初からバイアスがかかっているから。

固定観念」「既成概念」...つまり「もともと知っていること」に影響されている状態です。

「思考」は「知識」にだまされる

あるデータを見たときに、いろんな「知識」を自分の頭の中から無意識にひっぱり出して、それらの知識に基づいて、データを自分の知識に合うように解釈してしまう。

これは、「思考」ではなく「知識」による思い込みである。

「知識」は過去!「思考」は未来!

知識が思考の邪魔をするため、よく知らない分野では革新的なアイデアに寛容な人も、専門分野では驚くほど保守的になってしまう。

これは、保有する知識が多すぎるとどんなに斬新なアイデアを聞いても知識によって「そんなことは不可能だ。できるわけない」と否定してしまうからです。

「詳しくなればなるほど、その分野での新しいアイデアに否定的になる」

つまり、「知識が思考の邪魔をしている」状態。

反対に思考力のある人は、時代が変わり、世の中が変わり、新しい情報に触れたとき、過去の知識ではなく、目の前の情報から考えることができる。

それが「考えることができる人」「時代の変化に気がつく人」と言えるでしょう。

知識=「過去の事実の積み重ね」
思考=「未来に通用する論理の到達点」

自分の頭で考える=「知識と思考をはっきりと区別すること」

①まとめ

・何かの情報を得たときは、「よい面」「悪い面」両方を考える
・過去の知識からの思い込みではなく、目の前の情報から考える

・知識と思考をはっきりと区別し自分の頭で考える

 

②「決めるプロセス」


情報ではなく「意思決定のプロセス」が必要

会社の会議で十分すぎる情報があるのに何も決まらないのはなぜか?

それは「誰も何も考えていない」からです。

みんな「情報を集めて分析する」...そんな作業に熱中しているだけなんです。

しかし意思決定に必要なのは「どうやって結論を出すべきなのか」ということなんです。

なにかを決めるときには「情報」とは別に「意思決定のプロセス」が必要です。

情報ばかり集めて、「どういう情報があれば、どんな結論を出すべきなのか?」という意思決定プロセスについて何も考えていなければ、どんなに情報が集まっても何も決まりません。

意思決定プロセスが明確になれば、必要な情報だけを集めることができる。

たとえば「品質にかかわらず1万円以上の服は買わない」という意思決定プロセスをもっていれば、ブランド店に行く必要もないし、ネットで価格を絞り込んで検討できます。

つまり、先に意思決定プロセスが決まっていれば効率的に情報をあつめられるんです。

「考える」とはインプットをアウトプットに変換すること

「情報を集める」「情報をグラフ化する」「話し合う」これらは全て、「考えること」とは違います。

「考えること」「思考」とは、情報(インプット)を結論(アウトプット)に変換するプロセスを指します。

つまり、「考えた」というのは「なにかしらの結論を出した。ある考えに至った。」ということなんです。

それは仮の結論でも間違っていてもいいんです。

重要なのは「その時点での結論を出した」というのが、「考えた」ということなんです。

逆に「結論(=あなたの意見)は?」と聞かれて何も答えられないのであれば、それは考えていないということです。

②まとめ

・意思決定プロセスを決め、どうやって結論を出すのかを明確にする
・意思決定プロセスを明確にすれば、効率的に必要な情報を集ことができる

・「思考」とは、情報を結論に変換するプロセスのこと

 

③知識は「思考の棚」に整理しよう


「知識」と「思考」の最適な関係は「知識を思考の棚に整理する」ことです。

重要なのは、自分が手に入れた知識を、それをもとに考えたこと(=思考)の中に整理して格納しておくことなんです。

同じものを見て、いろいろ気がつく人は、「知識を整理するための思考の棚を持っていて、次に知りたい情報を意図的に待っている人」なんです。

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情報を適切な棚の中に整理しておけば「情報感度」を高めることができます。

なにを見てもなにを聞いても「なぜそんなことを思いつくの?」という人の頭には、大量の知識ではなく多数の「思考の棚」があるんです。

「知識」と「思考」の理想的なカンケイ

単純に「知識を保存する」=「記憶する」のではなく、知識を洞察につなげる「思考の棚」をつくる。

これこそが「考える」ということなんです。

③まとめ

・知識は「思考の棚」に整理する
・大量の知識ではなく多くの「思考の棚」をつくる
・「考える」とは「思考の棚」をつくること

 

実践ポイント


・何かの情報を得たときは、「よい面」「悪い面」両方を考える

・「知る」ことと「考える」ことはまったくの別モノであることを理解し、「知識」と「思考」をはっきりと分けて、「知識」を「思考」にどう活用するのかを意識する。

・情報を得たら「思考の棚」をつくり、知識は「思考の棚」に整理する